現場監督の仕事って何するの? 一般論デスクワーク編

現場監督について

一言で現場監理と言っても、現場調査から始まり、見積作成、請負契約、工程管理、原価管理、品質管理、安全管理などなど様々な内容が含まれているので一般論から一つ一つ紹介していきたいと思います。

物件現場調査

まず私の場合は、主に設計会社の方から現地の物件の現場調査を依頼されます。

そこで現場調査に行くわけなのですが、現状の状況と依頼主の設計会社様により内容は全然変わってきます。

初回の現場調査に関しては、現地のインフラ関係(電気容量、設備給水水圧、ガス関係)を主に確認し、その物件が、オープン予定の工事に適応してるか調査いたします。

電気容量が足りなければ、電気の契約状況をかえなくてはなりませんし、ビルに入っている線をひき直す作業も出てきたりしてしまいます。

水圧に関しても同様で、そもそも水圧が足りていない場合は貯湯タンクや、水圧を上げる増圧ポンプなどが必要になってきたりする場合も含まれます

ガスに関しても建物全体での容量や、そもそもビルに入ってきているガス管が細い場合などは道路工事が発生してしまう場合も起きる可能性があるため、協力業者様に問い合わせをしたりしつつ判断を仰ぎます。

インフラ関係はビルの持ち物になっているため、弄るとなると、ビルオーナー様の許可、許可が出たとしても、そう安くはない費用がかかるので、あまり弄りたくないというのが店舗屋さんの本音ではあります。

次に搬入状況です。

こちらはかなり肝心で、すべての建材は人力で搬入するため、エレバーター有無、使用が出来るのか?そもそも搬入できるのか?と言う判断が必要になってきます。

大きなものでいうと、厨房機器がエレベーターに入るのか?入らない場合は階段で搬入できるのか?壁を立てるLGSはエレベーターで搬入できるのか?

過去にはエレベーターに入らず、階段の入り口のドアにも入らず、レジカウンターを作り直しと言った悲劇もございました。

設計会社様により、現地のすべての寸法をとり、粗で現地の図面を起こすこともございますが、本音を言うと、そこに関しては設計会社様の仕事の範疇なので責任分界点としても、あまり良くないんじゃないかなと個人的には思います。

10cmズレただけで家具や機器そのものが変わる可能性があるのでかなり慎重な作業になります。

個人でやられている設計会社様でしたら、寸法図って、書いて、写真撮ってと一人でやるには限界があり、どうしても手が必要になってくるので必ず手伝うようにはしていますが、これは信頼関係がある設計会社様に限って行っている感じですね。

見積もり作成

現場調査が終わりましたら、設計会社様より粗図面を頂きます。

この時点で大体平面図のみ頂くので平面図から読み込めるような内容と現場調査で得た情報を基に概算見積もりを作成するわけです。

見積提出

こちらに関していえば設計施工会社、設計会社、エンドユーザー様からの直接の依頼なのかによって大きく変わってきます。

詳しくは別記事で書いていこうと思いますので簡単にご説明します。

見積提出は工事をさせていただく際に、これだけの項目があって、この金額かかりますよ。

と言ったご説明をさせて頂くことになります。

個人的にはお時間とっていただいて、対面でのご説明が間違いがなく、疑問もその場で聞けますし真摯かなと思いますが、最近ではzoomでのお打ち合わせが主流なのでzoomでも対応しています。

粗図面からの概算御見積提出、金額調整しつつ、仕様が決まってきた段階での御見積提出、予算等々FIXした上での本見積提出と3回くらいはお打ち合わせ件、見積もり説明をさせて頂くことが多いです。

請負契約

図面が出来上がり、見積金額を提示させていただき、工事金額が決まって、いよいよ御契約になります。

最近では電子契約などがございますが、契約書の内容をお客様と読み合わせしたいので対面がベストですが、zoomによる読み合わせと、契約書の郵送の場合もございます。

契約書の内容は会社により条件等様々なのですが、自然災害時の対応、工事後の保証がついているか、追加金額が発生した場合の対応、万が一工事に遅延があった際の対応などしっかり記載しているかを、チェックするようにしていただければと思います。

工程管理

品質、コストを調整しながら、お引き渡しの期日に合わせ無理のない工程表を作成し、実際現場作業を進めていく中で調整を繰り返しながら工事を進めていくことが工程管理にあたります。

まずゼロ工程を作ることから始めますが、店舗工事において、ビル側、近隣にお住まいの方の制限がなければ、日曜日も作業日になってきますので実質工程を作るイメージになります。

工程表を作成したら、業者の選定です。

工程表に基づいて作業に入れるか、各作業の工程表の日数で工事が完了できるのかを打ち合わせして工程表と施工者を調整していきます。

工事が遅れてきている場合などは遅れている業者様にどうリカバリーするのかを打ち合わせつつ、次の業者様に日程のリスケを行っていき品質を落とすことなく工事完了を目指していきます。

品質管理

我々の業界での品質管理は仕上がり面を気にされるかと思います。

壁がまっすぐ建ち、家具や建具がキッチリ配置され、各所の仕上がりもピシッと言っている現場は、入って一目でわかるくらい気持ちのいいものです。

その中で、壁の仕上がり、床の仕上がり、照明の配列、家具の仕上がり等々目に見える箇所はお施主様にもご指摘いただけますし、職人さんの技術向上にも役立つので非常にありがたいことだと思っているのですが、私はそもそもの壁の位置から始まり(墨出しと言います)給排水は指定の場所に出ているか、配線忘れはないのか、壁が曲がっていないか、床を上げた箇所はフラットになっているかなど壁の中に隠蔽されたり、後に修正のきかない箇所こそ重要だと思っております。

何故なら、そもそも壁が曲がっている場合、家具や建具が垂直に取り付けできないことは想像できると思いますが、壁紙工事、塗装工事に大きな打撃を与えるからです。

曲がりくねった壁に平らにパテを打ち、綺麗に壁紙を貼るのはなかなか困難です。

とは言え、職人さんとて人間なので、ミスもありますし、機械の不備や故障、頼まれていた箇所を忘れていたということもあります。

出戻り工事に繋がりかねないので非常に心苦しく、言いにくくもあるのですが、信頼して任せているからこそ、しっかりチェックして現場を進めていくことが重要かと思っております。

お施主様と設計会社様、私のトリプルチェックがあってこそ、整理され、一目見て気持ちのいい物件が出来上がっているかと思っておりますので、お施主様は臆せずにドンドン現場に行き、疑問点などをお伝えすることをお勧めいたします。

原価管理

原価管理とは文字通り、この工事が一体原価がいくらかかって、いくら利益が出るのかを都度都度管理していくことを指します。

現場を進めていく中で、どうしても起こってくることが予測不可能な事態、設計会社様や御施主様に「これもお願いできないですか?」と言った頼まれごと

これを全て「はい、わかりました。やっておきます」

となると聞こえはいいのですが、人が動くとなると金銭が発生することは何処の業界でも同じと思います。

となると、原価管理をしていないまま何でもかんでも行ってしまいますと、あっという間に利益は吸い取られて行ってしまいます。

だからと言って、「この段ボール1つ捨ててくれませんか?」「既存のこの部分汚いので塗れませんか?」と言った、すべての物事に対して追加追加見積見積とやっていくのは工期が短く、スピード感溢れるテナント内装工事に関して難しいことが現状です。

ここで重要なことは今現状いくら利益が出ていて、何処までなら予算内で対応できて、何処までが追加工事にあたるのかということを理解しておくことが重要かと思います。

御施主様があっての工事なのですが、give&giveではなく、give&takeで良い関係を持続してくためにも常に原価管理を怠らないことが関係を良好にするポイントのような気がします。

またその采配を決済できることが現場監督の手腕なような気もします。

稀に「出来ません。全部追加工事になります」や「見積もり以外の工事を全部無償でやってしまう」と言った猛者もいますが、「そもそも赤字工事なのか原価管理できていないんだな」と思うようにしています。

安全管理

テナント内装工事による安全管理とは何を指すのか。

現場を進めてく中で養生のテープが剥がれかけていたり、職人さんの荷物が散乱していて足元が散らかっている、搬入時に歩行者の誘導など、事故を未然に防ぐことはもちろんですが、とにかく夜工事に突入してしまいがちなこの業態、私は夜中の作業で一人にさせないように徹底しています。

夜中の一人での作業ほど危険な行為はありません。

日中でもそうですが、仮に倒れてしまったら発見が遅れて大惨事になる恐れがあります。

以前あった事例としては大工さんの言動がおぼつかなくなっていて、「大丈夫か?大丈夫か?」としつこく聞き、当然「大丈夫」と仰るのですが帰らせて病院に行ってもらったところ、神経系の疾患でそのまま作業していたら倒れていた、なんてことがありました。

仮に一人で作業していたら?夜中だったら?工程がスムーズに進み次の日にも誰も来なかったら?

考えただけで恐ろしいですよね。

会社により色々基準はあると思いますが、人が作るものなので、人を大切にと言うことが安全管理につながってくると思っています。

まとめ

店舗工事の現場監督の仕事は現場調査から始まり、見積作成、請負契約、工程管理、原価管理、品質管理、安全管理となる。以上の項目は一般論としての現場監督のお仕事であり、現場に立てばまた様々な役割があるので次回はもっと深堀してお届けいたします。

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